【レッツ★エンタメ】よしながふみ、ヤマシタトモコ、池辺葵、チョ・ナムジュほか
丹念に描かれる関係、そして信頼
①よしながふみの漫画『きのう何食べた?』では、食事を作り、食べながら話すということを繰り返しながら積み重ねるゲイカップルの日常が丹念に描かれています。「老い」もテーマになっています。とにかく出てくる料理がどれもおいしそうで、レシピ本としてもかなり使えます。
②ヤマシタトモコの『違国日記』は、母親の死により、人見知りの小説家の叔母と同居するようになった高校生の話です。家族の中の断絶、孤独と自由、人とのつながりや関係の変化が描かれていて、じんわりと効いてきます。
③池辺葵の『雑草たちよ 大志を抱け』は、高校の同級生たちの関わり合いの話です。彼女らのひたむきさ、優しさには息をのみ、なんだか泣きたくなってきます。
女性が生きる辛さを分かち合う
④チョ・ナムジュの小説『82年生まれ、キム・ジヨン』では、女性として生きることのしんどさが描かれていました。しんどさが何の問題なのか、夫婦間にさえどれほどの断絶があるのかを見せてくれました。
『彼女の名前は』では、そこからさらに「前に進む」ことが描かれています。女性たちがそれぞれの場面で次世代には自分と同じ悔しい思いをさせまいと闘う、シスター・フッドの物語集です。働く女性たちがたくさん出てきます。悩みながらも歯を食いしばり闘い、ついに勝つ場合もありますが、大勝利にはなりません。闘いは続いているのです。
SFの現実感
極端な貧富の格差、あるいは苛烈な弾圧と人々の抵抗という世界の現実は、ドラマや映画の基礎設定ともなっています。理不尽な殺し合いゲームにおけるサバイバルという要素が繰り返されるのは、私たちの殺伐とした感覚の反映でしょうか。
タイやミャンマーでの民主化運動では、映画『ハンガー・ゲーム』(2012年)の三本指を掲げるしぐさが、抵抗への連帯を示すサインとして使われ、映画のシーンが現実になりました。
⑤ニール・ブロムカンプ監督の『エリジウム』(2013年)は、健康や安全を保障される特権階級としての「市民」の範囲について、私たちに問題提起しているように感じます。