伊藤真さんの憲法講演
2025年2月5日、保育関係予算増と職員配置基準の改善などを求める「保育請願署名」を国会に提出する行動があり、自治労連千葉県本部からは2組合の4人が参加しました。
行動前段の集会では、憲法についての学習があり、伊藤塾塾長で弁護士の伊藤真さんが「憲法を生かし、社会をかえるには 人権・平和・民主主義」のテーマで講演しました。以下、憲法講演内容(要約)を紹介します。

講演する伊藤さん
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憲法前文の1項には、われらとわれらの子孫のために、①日本中に自由と人権をもたらすことと、②政府に二度と戦争をさせないことをめざすことの2つの制定目的が示されている。
憲法は、国家権力を制限して、国民の権利・自由を守る法だ。国民が人為的に作った権力の主体である国家は、法律によって国民の権利を制限するが、それは時に暴走する(マイノリティの権利を侵害する 例:ナチス)。憲法は、暴走しかねない政治権力に歯止めをかける役割がある。
日本国憲法の根本価値は、13条の前段(個人の尊重)「すべて国民は個人として尊重される」にあると私は考える。一人ひとり異なる個人として価値があり、幸せになる権利がある。自分の幸せは自分で決めるということ。一人ひとりのかけがえなさに立脚するならば、個人を戦争の道具にさせないという平和主義も内包していると言えるのではないか。
近年、「中国の脅威」を背景に、台湾有事を想定して軍拡が必要という議論が多くみられる。しかし、立ち止まって、現実の戦争を具体的に考えてみてほしい。
軍事費捻出のために社会福祉や教育予算が大幅に削減されるが、軍事的抑止力を高めても「敵」の意志を挫くことにはならない。/国際的緊張の高まりの中で輸出入が減少し物資の統制が始まり、飢餓が発生する。/サイバー攻撃や重要インフラへの攻撃をうけ通信や電気水道ガスが長期間途絶する。/軍事衝突となった場合、軍隊は国民を守らず、原発は標的になり、少なくない国民が無残に死ぬ。/その上戦争に負ける。/日本の政治家は米国の要求を拒否できず国民を危険にさらすこうした流れを止めることができない。
という可能性に目を閉ざしていないか。
憲法前文の2・3・4項には、自国のみならず全世界の人々の平和的生存権が示され、理想を追求することが誓われている。この理想は今の世界の現実から見れば「お花畑」と言われるかもしれない。しかし、現実に合わせて理想を投げ捨てて良いわけではない。憲法は未完のプロジェクトであり、理想に向かう私たち一人ひとりのプロジェクトなのだから。
未来は私たち自身がつくりあげていくものとして覚悟を決め、どんな未来にしたいのか学び、想像力を働かせ考え、委縮しないで声を上げ行動する、そうした市民を目指そう。仲間が隣にいることを確信にしよう。
私は、ラテン語の好きな言葉がある。Festina lente (ゆっくり急げ)だ。慌てず、焦らず、諦めず、一歩一歩、進んでいこう。
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