学習会 トランプ政権下のアメリカと日本 ~トランプ関税をめぐって~
自治労連千葉県本部、5月17日に第113回中央委員会を開催しました。その中で学習として、「トランプ政権下のアメリカと日本 ~トランプ関税をめぐって~」のテーマで宮﨑礼二さん(明海大学)を講師に、トランプ政権の政治・経済政策の内容と、それがアメリカや日本にどのような影響をもたらすのかについて学びました。
トランプ理解のキーワード
トランプ政権を理解するためのキーワードは、①ポスト真実(客観的事実を無視し、信じたいことを「事実」として世論形成する)、②洪水戦略・銃口速度戦略(大量の情報を矢継ぎ早に発信し異論をはさむ隙を与えず自分の有利な方向に持っていく)、③狂人理論(突飛なふるまいを繰り返し、予測不能にする)、④二国間でのドア・イン・ザ・フェイス(吹っ掛け交渉)だ。
尊敬する歴代大統領は、ウィリアム・マッキンリーと、リチャードニクソン
また、トランプが尊敬する大統領として挙げているのは、関税により国内製造業を守ることで以後の世界的覇権の礎をつくり、対外的には帝国主義的に領土拡張政策をとったウィリアム・マッキンリー大統領と、狂人理論を実行した人であり、金ドル交換停止という国際通貨システムの大変革(ルールチェンジ)をしたリチャード・ニクソンだ。
MAGAnomics
経済政策としてはMAGAnomicsと呼ばれるシナリオを進めている。MAGAとは、Make America Great Again(=アメリカを再び偉大に)のこと。関税を引き上げ(=税収増)、連邦政府を縮小させ(=歳出削減)、関税収入により所得税・法人税を減税・廃止し、規制緩和により景気刺激する。物価抑制については石油を増産してエネルギー価格を引き下げるという目論見だ。
ただ、このシナリオは現実としては、物価上昇と企業業績の悪化、経済格差の拡大を招く可能性が高い。トランプとしては、2026年11月の中間選挙を見すえ関税政策については一定の修正を行いながらも、国内向けMAGAアピールを加速していくだろう。
日米交渉
日本に対しては、米国への生産拠点移転を求めており、石破総理はすでに対米投資拡大を約束している。今後農産物の輸入拡大も焦点になってくるだろう。軍事費増額要求はすでに関税交渉から切り離したとみられる。GDP比3%以上への増額を求めて、別の機会に取りに来るのではないか。
相互関税の算出方法に顕著なように、アメリカの主張はデタラメで根拠がない。日本は、まじめに「お付き合い」すれば2国間のドア・インザ・フェイス交渉で、高いものを買わされるだけだ。
トランプは、世界中で無法なふるまいを繰り返している。そんなアメリカに媚びへつらい、追従し続ければ日本は国際的な信用を無くす。対米投資拡大するにしても、武器購入を拡大するにしても、いずれも巨額の税金投入が必要で、国民生活が圧迫される。
日本の政治は誰のためのものなのか、が問われている。