1. HOME
  2. 最新情報
  3. 現業の本棚 藤井誠一郎『ごみ収集という仕事』

INFORMATION

最新情報

現業の本棚 藤井誠一郎『ごみ収集という仕事』

本紹介

収集職員の知識と経験は行政資産

9か月間、若手研究者が実際にごみ収集を経験して、ごみ収集という過酷な仕事を記録し分析したのが藤井誠一郎さんの『ごみ収集という仕事』という本です。

「清掃職員は毎日の収集作業を通じて狭小路地や抜け道を熟知し、リアルタイムの地域の状況を把握している。地域の現状を最もよく把握している行政スタッフは、毎日足を運ぶ清掃職員である。おそらく警察官よりも熟知しており、それは一種の行政資産と言える。近い将来、首都直下型地震が想定され、防災への意識が高まりつつあるが、不測の事態が生じた場合に機動力を発揮して最も活躍が期待できるのは、清掃職員であろう」と、収集業務の技術や経験の価値が行政資産として語られています。

また、聞き取りなどから委託業務の限界を浮き彫りにします。委託で働く労働者にとっては、その日の収集を短時間で着実に終えることが主目標となるため、

「排出ルールを守らないごみを放置し、後から『取り残しがある』とクレームを受けるよりも、清掃車に積み込んだ方が、委託者・受託者・排出者ともに仕事は減る。したがって「三方よし」となり、全体は一見、最適化される。だた、ごみの分別の推進を通した資源循環型社会の構築を目的にするならば、これは決してあるべき姿ではない」

体験から紡ぎ出された言葉には説得力があります。

書 名 ごみ収集という仕事
著 者 藤井 誠一郎
出版社 コモンズ
発 行 2018年5月
価 格 2,200円(税別)

現業評議会ニュース『こだま』2019年4月号より

最新記事